ロシア問題

12月12日付New York Times。

今週、世界的な反ドーピングのリーダーたちが、ロシアは今後4年間主要国際大会から除外されると明言したが、アスリート委員会はすでにその前から、処罰は全く不十分であると不満を明らかにしていた。

スキーのクロスカントリー金メダリストであるカナダのベッキー・スコット率いるアスリート団体は、処罰の内容を批判する声明を日曜日に出した。ロシア選手がドーピング違反を何度も繰り返しているのに、今回の処罰は甘すぎるというものであり、さらなる違法行為を助長するだけというものである。

だが、世界反ドーピング機関(WADA)が詳細に意見を聞いた選手――南アフリカの元スイマー――は、違う意見であった。WADAの幹部が今回の決定を発表した際、彼らは、元スイマーであるペニー・ヘインズの意見が重要な役割を果たしたと語った。

45歳のヘインズは、ロシアのドーピングに関する調査に1月から委員会で関わってきた。WADAのロシア・スキャンダルの扱いをめぐって、スコットが辞任したのを受けてのことだった。
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<1996年アトランタ五輪平泳ぎ2冠。アパルトヘイト撤廃後初の南ア金メダル>

最近、ヘインズは、潔白なロシア選手を擁護する重要性を声高に繰り返している、と調査委員会の英国人弁護士、ジョナサン、テイラーは言う。

声明発表後の最初のインタビューで、テイラーはニューヨーク・タイムズに語った。ヘインズは処罰に対しては異論はないが、クリーンと証明できた何百人かの選手には出場を認めるべきだと主張したという。ヘインズは最近ブダペストで行われた水泳競技会で10代のロシア選手たちの泳ぎを見て、気持ちを固めた、と言っている。

「この問題が起きた時、彼らは10歳か11歳だったんです。薬物問題の構造とは何の関係もない」
ヘインズは言う。ヘインズはアトランタ五輪で100と200の平泳ぎで金メダルを獲得し、アパルトヘイト撤廃後の南ア初の金メダリストとなった。
「あの子たちは全くの潔白です。我々は、世界全体の後の世代を考えて決断をする必要がある」

ヘインズによると、委員会はロシアの全面排除を議論した。彼女の子供時代、南アフリカもまた国際競技会の場から締め出されていた。アパルトヘイト(人種隔離政策)をとっていたからだ。ヘインズは、ペナルティは今はいいかもしれないが、同時に若いアスリートの「多くの夢を打ち砕いたのだ」と語る。

WADAの任務とは、世界中のクリーンなアスリートを守ることだ、とヘインズは主張した。
「すべての潔白な選手に、競技をする権利を保障するのが我々の義務です。無実を証明したロシア選手もそうです」

WADAは、ロシアが選手のアンチドーピングに関する数千ものデータを改竄もしくは破棄したと結論付けた。これにより、国家ぐるみの不正によって利益を受けた選手に対する罰則は避けられなくなった。WADAは、ドーピングのスキームに関わった選手や、それを隠蔽した者はすべて国際競技会から除外され、場合によってはメダルも剥奪されると述べた。
ただ、2020年東京五輪には、中立チームとして数千人規模の選手が参加できそうである。ロシアの国旗、国歌、ユニフォームは使用を許されない。批評家たちは今回の措置は厳しいというよりも蝶々的な意味合いが大きいと言ったが、ヘインズはそこが重要だという。

「ロシアは存在しません」
ヘインズは言う。
データ改竄などの問題がここまで大きくなって、もっと大事なことは「ロシア」という言葉が消えた、ということです。

ヘインズは、ロシアの選手を狙い撃ちして除外するのはフェアではない、と言う。たとえそれがスポーツ史上最大の不正・隠蔽スキャンダルであったとしてもだ。
今回の措置は、2015年に陸上競技がとったものよりも甘い、という批判もある。陸上競技の幹部は、ロシアをすべての大会――田舎、地域、国際――から除外し、個人として出場する選手には厳格な手続きを課し、「承認済みニュートラルアスリート」として参加させることとした。

また、罰則には世界選手権以外のトップレベルの大会が含まれていない、という批判もある。たとえばロシアチームは来年夏のサッカー欧州選手権に出場する予定だし、サンクトペテルブルグは12ある開催地の一つである。それにロシアは2021年の欧州チャンピオンズリーグ決勝の開催権を保有したままであり、これはクラブ単位では世界最大の試合なのだ。

ヘインズは、自分が全面除外に反対したのには、地域レベルの大会は要素に入っていなかったと言う。
「正直言って、私は五輪のことだけを考えていて、大陸別の大会は考慮に入れていませんでした」

世界最高峰のアスリートたちが、ロシア抜きの大会で戦いたいと思うだろうか、とヘインズは言う。強力なライバルなしで勝ったとしても、エリート選手は満足できないというのだ。

「真の競技者ならば、ベスト・オブ・ベストと戦いたいはずです。そこをトップ選手たちがどう考えているかが知りたい」

さらにヘインズは、現役アスリートの反対の声についても言及する。先週IOCがいくつものスポーツの代表者に聞き取りを実施したところ、制裁案に反対する声は少なかったというのだ。

「なぜ全面除外ではないのか、みたいな声明は誰も出していません。アスリートが皆怒っているというのなら、なぜそういう声が上がらないのか?」

IOCは反ドーピング機関の基金の半分を出しており、会長のトマス・バッハはロシアに対する全面除外に、公に反対した。ロシアが度重なる愚行を犯しているにもかかわらず、である。ドイツ人のバッハは、1976年モントリオール五輪のフェンシングで金メダルを獲得しているが、連帯責任よりも「個別の正義」を尊重すると述べている。

ヘインズは、WADAのアスリート委員会のチェアマンであるスコットに対しては、メンバーの意見が分かれているコトン関して話をしていないという。だがスコットや他の委員が、ロシア選手を一人一人クリアにするために役割を果たすだろうとは考えている。

彼らはテーブルについて、選手たちが持ってきた証拠を精査すべきです。私たちの心が本当に、クリーンなアスリートを守るためにあるのならば、そして選手たちが持ってきた証拠が確かなものならば、その時は彼らは潔白だということです」

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