インチキ野郎はいらない

以下、Swmming World誌。

中国の五輪金メダリスト、孫陽は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定を控えている。レース後の血液検査で、血液の入ったガラス瓶を叩き割ったという問題で、キャリアが終わるかどうかの瀬戸際だ。その孫陽が今週、韓国で行われる世界選手権にやってくる。水泳界では、彼を永久追放にしろという声が広がっている。

最初の金メダルレースは7月21日の日曜日だが、孫には400m自由形のタイトル防衛がかかっている。CASの問題がなぜ大会前に持ち上がらなかったのかという疑惑と敵意に、彼は立ち向かわねばならない。

非公表の報告書が、英国のサンデー・タイムズ紙によってその詳細が暴露されたが、その内容は1月に沸き上がった孫陽の問題を裏付けるものであった。豪州のサンダー・テレグラフ紙も今週、この問題を掲載している。スイミング・ワールド誌ではこの報告書の全文に目を通し、以下にその詳細を記すものである。

豪州国内では、この問題で持ち切りだ。サンデー・テレグラフ紙は、FINAのドーピング公聴会による、孫の問題に関する報告書を、59ページにわたって掲載している。これに関連するニュースも2ページにわたって載せており、中国語にも翻訳されている。

テレグラフ紙のマイケル・キャロル編集長は、孫陽の問題とFINAの報告書を中国語で発表する決断をした理由をこう説明した。

「世界中のエリートスイマーが、なぜ孫陽の水泳界からの追放を望んでいるのかということだ」


1月、FINAのドーピング委員会が関心を寄せる対象に向けて、一つの報告書が配布された。それによると、孫陽は「選手生命にかかわる、重大で愚かな博打を打った」とされる。検査規約を踏みにじり、数回にわたって検査を許可なく放棄し、提出済みの血液サンプルを破壊する行為に加わった、というものだ。

孫陽と代理人弁護士は、孫は何もルールを破っていないが、昨年自宅を訪れた検査チームの正当性に異議を唱えたのであり、そのような状況では血液サンプルを提出できる状況ではなかった、と主張している。

ドーピング委員会の報告書は、FINAの姿勢を詳しく記している。その中には、なぜFINAが委員会の問題や、選手の立ち場に言及する必要性を感じたかも含まれる。

昨年9月4日の夜11時半から深夜3時15分にかけて、孫陽の取り巻き(2度摘発されている医師のBa Zhenと孫陽の母親であるMing Yangを含む)と、保安要員や検査要員との間で、長時間にわたる激しい争いがあったにもかかわらず、FINAの委員会は孫陽を、厳しい非難をくわえたうえで放免とした。

FINAによると、血液サンプルをハンマーで叩き割った事件には、孫陽自身と3人の取り巻きが関わっているという。

サンデータイムズ紙がこの問題を報じた後、世界反ドーピング機関(WADA)は、なにもペナルティが課されなかったことについて「深刻な懸念」を表明し、この件をスポーツ仲裁裁判所(CAS)に諮るとした。

2011年にCASは上海にオフィスを構え、ブラジルのセザル・シエロを含む、検査で陽性反応を示した4人のスイマーに対して決断を下した。晴れてレースに出られるか、出場停止処分を受けるか、当地で行われる世界選手権から追放されるかであった。

シエロと他2選手は、知らぬところでサンプルが汚染されていたと主張して警告処分となり、大会出場を認められた。一方でヴィニシウス・ウェキッドは2度目の違反ということで1年間の資格停止となった。前回は別件で2か月の停止処分を受けている。

2019年は公聴会も設置されず、何の意思決定もされないまま数か月が過ぎ、世界中のスイマーやコーチ、親、ファンは怒り、困惑した。彼はは一様に孫陽と医師、FINA,ドーピング委員会、CAS、WADAをソーシャルメディアで批判した。信頼と正義は地に落ちた。FINAのディレクター、コーネル・マルクレスは、公聴会は9月に開かれると示唆したが、法廷や関係者の反応は今のところ無く、具体的な日程も決まっていない。

五輪のメダリストたちは多くが孫陽の世界選手権出場に対して抗議の声を上げているが、英国のアダム・ピーティもその一人である。

「俺はコイツが世界選手権とか五輪で、自分の同僚たちと泳ぐのを見たくない。仲間たちはここへ来るまでに物凄い努力をしてきたんだ。みんなそうだろう。あんなことをしたら、警告でなんか絶対に済まないよ」

世界トップレベルの自由形スイマーが皮肉交じりのツイートをし、ジェームス・ガイは「まあ、しゃあないか」とつぶやいたが、それを受けて英国代表でのチームメイトでもあるピーティは言った。
「しゃあないか、じゃねえよ。水泳界を統括するのはドーピングを絶対に許さないって人たちでなきゃな」

ケイト・キャンベルは、世界中のエリートスイマーたちの懸念を代弁した。
「ドーピングの問題については、とても強い疑問がいくつかある。とくに孫陽にかんする話では」
キャンベルはテレビ番組で答えた。

「頭に来ています。がっかりです。私の家には、検査チームが日曜朝の5時半に来たこともあります。ベッドから出て、尿と血液のサンプルを提出しました。それをするのは、私がクリーンなスポーツを信じているからです。サンプルをハンマーで割るなんて私には考えもつかない。検査システムをあからさまにないがしろにする人がいるなんて、いったい何なんだって思っちゃう」

豪州のヘッドコーチ、ジャッコ・ヴェルヘーレンは、2017年にFINAのコーチ委員会の職を辞した。ロシアの選手が、2度までも検査に引っかかって処分を受けたスイマーも含めて、リオ五輪の参加を認められた決定に抗議しての行動であった。国家ぐるみのドーピングを告発した、いわゆるマクラーレン・リポートの公表を受けた後の騒動である。

ロシアのウラジミール・プーチン大統領と、当時のスポーツ担当大臣ヴィタリー・ムトコが、FINAの命令を受けた最大の大物であった。プーチンは2014年に罰則を受け、ムトコはドイツのテレビ局ARDがドキュメンタリーを放送し、組織ぐるみの不正を暴いた1年後に処分を受けた。

2016年のリオ五輪では、ロシアのユリア・エフィモアや孫陽など、ドーピングの前科があるスイマーがスタート台に上がるたびに、客席からブーイングが浴びせられた。

豪州コーチのヴェルヘーレンは、今大会に孫陽が参加することは、世界選手権の過去と未来を断ち切ってしまうことだと危惧する。選手たちはすでにSNSで不満を述べているようにである。彼らの関心事の中でも大きなものの一つは、薬物検査プロセスにおいて、より高い基準と信頼性を求められることになるということである。

「こういうケースは、検査システムの信頼性に対して決して助けにはならない」
ヴェルヘーレンはサンデー・テレグラフ紙に語っている。

「WADAもFINAもIOCも、協力してさらに透明性を高める努力をしなくてはならないと思う。ただ、検査チームがやって来たならそこに間違いなどないし、選手は検査に協力する以外選択の余地はない。それにどんなルールであれ、そのルールを曲げていいなんてことがあるはずがない」



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